2008/10/29

聖少女領域へ

風邪の治りかけとなった今日、それでもまだ風邪ライフを満喫しようと、だらだら過ごすことにした。そしたら、おあつらえ向きに水曜唯一の授業が先生の「病気」による休講。私はサイフをひっつかんで外へ出た。漫画を買いに行くためである。

私は中古書店に入った。すると、そこには平日の昼過ぎだというのにぱらぱらと人がいた。

(まったく、平日の真っ昼間に漫画を買いにくるなんて、どんな人たちなんだろう?)

私は心の中で呟いた。『翠山ポリスギャング』をぱらぱらとめくりながら呟いた。そのときは自分もまったく同じ人種だということに気づいていなかったのだ。

漫画の棚をまわってみたが、しかし、これといって読みたい本が見つからない。好きな作家の漫画はもうほとんど読んでしまったからだ。『ジョジョの奇妙な冒険』も『ハンター×ハンター』も『ボンボン坂高校演劇部』も『ノックアウトまさとめ』も『サクラテツ対話編』も‥‥‥。

そこで、昨日足を踏み込んだ少女漫画という領域、名づけて「聖少女領域」に突入することにした。

そこは、ピンク色だった。

なぜだろう? 少年漫画、青年漫画の背表紙はそれぞれ違う色で、統一感などカケラもないというのに、少女漫画は示し合わせたかのようにピンク一色なのである。しかも、その数たるや、男向け漫画に勝るとも劣らな‥‥‥いや、たぶん、勝っている!

(もしやここは‥‥‥すべての少女たちの原風景‥‥‥)

私はむかしから、少女漫画の存在を知っていたはずだ。それはいつだってそばにあった。本屋に行けばイヤでも目に入ってきていた。小さい頃は妹が読んでた『りぼん』だかなんかをこっそり読んでたこともある。日曜の朝はしっかり『マーマレード・ボーイ』をみてた。けど、その重要性に、今まで気づかなかった。

(ここは、女の子の原風景なんだ!)

私はとりあえず、目についた少女漫画の一巻をいくつかかごに入れた。それは少女漫画というフロンティア、名づけて聖少女領域に旅立つための地図になるはずである。このグランドラインを旅し、恋人という一つながりの秘宝を手にするためのログポースなのである。

「1,450円になります」

研修生、と書かれたネームプレートをつけたイケメン店員が漫画を袋に入れてくれる。このとき、すでに彼の後ろ側には雪の結晶みたいなものが見えた。胸が「トクン」と震えた。

買った少女漫画は以下の通り。(すべて一巻のみ)

『花より男子』
『高校デビュー』
『きみはペット』
『ライフ』
『砂時計』

すでにぜんぶ読んだが、最後の一つ以外はかなりおもしろかった。これでだいぶ女心がわかってきたような気がする。今分かっていることで女心をくすぐる法則をあげるなら、

1、イヤな男 or 冷たい男と思わせておいてときどきやさしくする。
2、いざというときクサいセリフを真顔で言う。
3、何度か偶然の出会いをする。
4、イケメンである。

といったところだろうか。1つ目は「ギャップのある男はモテる」という噂にも一致するし、3つ目は「頻繁に顔を見る人には好意を持ちやすい」という心理学科のY教授の言葉に合致する。4つ目のは頭蓋骨を移植するしか手がないので諦めるとしても、上の3つは努力次第でなんとかなりそうだ。

また、上記以外にも特例的なものとしていくつかの方法を発見した。一つは不意にキスをするという方法である。これはきのう借りてきた『好きっていいなよ。』で実践され、功を奏していたやり方である。が、私がこれをやるとおそらく刑事事件に発展するのでやめておこうと思う。イケメンという資格がない場合、これは罪に問われるのである。

まだ「少女漫画に学ぶ恋愛術」の研究ははじまったばかりであるが、いつかこれをまとまった形にして彼女をゲットし、あわよくば本を書いてモテない男たちのバイブルとして出版したい。

以上、平日昼間から少女漫画を読みあさる23歳男性の日記でした。

2008/10/28

作者急病のため

今日はわたくし、岬が日記を書くことにします。

昨日から発症した風邪のせいで、清水くんは部屋のベッドで過ごしております。

といっても、眠っているわけではなく、鼻をかんだティッシュの山に囲まれて(中には別のティッシュもあるかもしれませんが)漫画を読んでいます。あたしが借りてきてあげた漫画を読んでいます。

「風邪のときは漫画がいちばんの薬なんだ」

彼はそうおっしゃっております。この前韓国人にもらった高麗人参のお茶を飲みつつ、Steel Ball Runを読んでいます。

「サンドマンが死んだのは残念だった」
「このシーンは二部のカーズのパロディだね」
「ホットパンツはジョリーンと何か関わりが?」

などなど、熱に浮かされたようなことをときおり呟いて‥‥‥。

その割には三限の授業には行ってきたのです。さすがにしんどかったらしく、四限は欠席したようですが、一度学校には行ったのです。よく分からない人です。そして夜の家庭教師はキャンセルです。

「Steel Ball Runは読んじゃったから、岬ちゃん、こんどは別の漫画を借りてきてくれ」

彼がそう言うので、あたしは最近漫画を扱いはじめたビデオ屋までひとっ走りして、今度は別の漫画をかりてきました。

「はい、どうぞ。『30婚』(ミソコン)と『好きっていいなよ。』だよ」

「しょ、少女漫画!? しかも、ミソコンの方は6巻だけ? なんてひどいチョイスだ!」

もちろん清水くんに気に入ってもらえないことは分かっていたのですが、清水くんは少女漫画でも読んで女心を勉強した方がいいのです。あんな手足が吹き飛ぶような漫画ばかり読んでいたら、女の子に好かれないのです。それに、少年誌でやってるような漫画では女心の参考にはなりません。二度と『ふたりエッチ』や『DNA2』を読むのをやめ(読んでなかったかもしれませんが)、女性作家が描いている女性向けのものを読めばいいのです。

そしたら、一ヶ月後には女心に精通し、大学に行くときとかに、

「おはよう、悦子」

「おはよう清水くん」

「悦子、靴下逆に履いてるぞ」

「え、ウソッ!?」(足下を見る悦子。汗をかく)

「ウソだよー! また騙されたな、アホ悦子!」

「んもーっ!」プンプン

自転車で大学の門へと入ってゆく清水くん。歩きなので取り残される悦子。

(バカ清水! ‥‥‥でも、なぜだろう? あたし、胸がドキドキしてる。まさか、あたし‥‥‥あいつのこと‥‥‥)背景に小さい花。

教室、ホームルームの時間。

「よーし、席替えするぞー! みんな紙に名前を書いて提出するように」

席替え。 隣同士になってしまった清水くんと悦子。

「「えー! なんであたし/おれがこいつの隣なんだよ!!」」

顔を見合わせ叫ぶ二人。

「公平にクジで決めたんだから、文句を言うな!」と先生。

「はぁ‥‥‥悦子の隣なんて、アホがうつりそうで怖いぜ」

「こっちこそ。あんたの性悪が伝染してお嫁に行けなくなったらどうしよう!」

背景、火花。

しかし、こんな険悪な二人の仲も、ちょっとしたきっかけからいい方向に変るのでした。

それはある日、夕暮れの下校時。

悦子の前を清水くんが歩いております。

(やだ、あいつと下校時刻がカブるなんて‥‥‥。ゆっくり歩いて追いつかないようにしなきゃ)

そのとき、なんと、公園からボールを追っかけてきた小学生の男の子が道路に飛び出したのです!

「危ない!」

子どもを助けようと道路に飛び出した清水くん! 急ブレーキをかける車! けど、ギリギリで避けることができました! よかったわ、清水くん!

「だ、大丈夫かい? 坊や?」

「う、うん」

見ていた悦子も、清水くんたちに駆け寄ります。

「大丈夫だった、清水くん?」

「悦子。ああ、おれなら心配ない」と言って立とうとする清水くんでしたが、「痛っ!」どうやら右手首をひねってしまったようです。

「大丈夫じゃないじゃない。ほら、右手見せて」

手当をする悦子。近づく頬と頬。背景にシャボン玉っぽいトーン。赤らむ二人の頬。

「わるいな。いつもからかってばかりいるのに」

「ケガしてたら助けるの、当たり前でしょ? たとえそれがあんたみたいなバカでもね」

「ありがとう」

「あんたが子どもを助けるなんて、いいところもあるのね。見直したわ」

このとき、悦子ははじめて清水くんが照れているところを見たのでした。

このあと、助けた小学生の姉(かな、高校一年生)が登場し、悦子とかなと清水くんの三角関係ができあがり、それからいろいろあって最終的に悦子とつきあうことになるのですが、大学受験後を描いた第二部では新しい女の子も登場してスタンドとかも使えるようになって、ストーリーは盛り上がりを見せるのですが、それはあとのお話。とりあえず、こうやって女の子との甘い関係がはじまってゆくのです。

「だから、少女漫画をお読みなさい」

清水くんは鼻をすすりながらミソコンを読み始めました。

「岬ちゃん」

「なに?」

「30歳の女の人ってどこにいる?」

食いついた!

「えっと、えっと‥‥‥」

でも、あたしには三十路の女性が生息しているスポットなど分からないのです。

「30歳か‥‥‥働いてればそこそこ金もあるだろうし‥‥‥競争率‥‥‥経験‥‥‥ヒモ生活‥‥‥」

すでに清水くんの頭の中には新しい宇宙が誕生したようです。脳内ビッグバンが発生したようです。けど、清水くんを熟女ハンターにしてしまってよいのでしょうか? 出現率の極めて低い獲物を狙い、しかもハンティングの腕は平均的中学生以下。小池くんのような母性本能くすぐりフェロモンを放出していない彼にとって、それは茨の道ではないでしょうか?

「清水くん、それを考える前に、そっちの『好きっていいなよ。』を読んでみたら? また考えが変るかもしれないわ」

「それもそうだね」

それからしばらく、清水くんは『好きっていいなよ。』を読んでいました。

「岬ちゃん」清水くんが漫画から顔を上げます。「女子高生って、どうやったら知り合える?」

しまったぁ! あの漫画は主人公が女子高生だったのでした。あわわわ‥‥‥。このままだと清水くんが進んではいけない道に進んでしまうかもしれない。ノー・モア・東! ノー・モア・板尾! ノー・モア・しまぶー!!

「大学生の清水くんが女子高生と知り合うなんてほとんど不可能よ。別に、女子高生にこだわる必要はないわ。大学生でいいじゃないの!」

「副専攻なんかじゃなく、教員免許を取っとくんだった‥‥‥」

「清水くん、高校生とつきあうなんて、そう簡単にできることじゃないわ」

「しかし、可能性は‥‥‥」

「条例の存在を思い出して!!」

京都府 青少年の健全な育成に関する条例 21条 第2項
何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつ行為を教え、又は見せてはならない。
一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金

「うわあっ!」

「これでもあなたは女子高生ハンターになれるかしら? この条例の危険をかいくぐって、警察の目をすり抜け、親の存在という圧力にも耐えることがっ!?」

「で、できない‥‥‥。おれには、無理だ‥‥‥」

清水くんはその場で泣き崩れてしまいました。彼は弱い人なんです。とてもJKハンターになれる器ではないのです。

「顔を上げて、清水くん。弱い自分を卑下することはないわ。むしろ、それでいいのよ」

「岬ちゃん‥‥‥」

「ほら、涙を拭って‥‥‥。窓を外をごらんなさい。今夜は、月がきれいね」

夜空に輝くお月さまは、とってもまんまるで、まるで、極楽とんぼの山本さんの顔のように見えました。

(そう、それでいいんだ‥‥‥)

お月さまは、そうつぶやいたように聞こえました。あたしには、確かに、聞こえたのです。

2008/10/26

喧嘩商売

かつて、週刊少年ジャンプで『幕張』という漫画を描いていた漫画家がいたが、その人が現在、別の雑誌で『喧嘩商売』という漫画を描いている。先日このことを友人から聞いて、一気に10巻まで読んだ。後半どんどんグロくなってきてそろそろギブアップしようかと思っているが、それでも、随所に散りばめられた変態&きわどいユーモアはすばらしい。

この一コマだけでも、お金を出して借りてきた価値は十分過ぎるほどある。

jk-hunter.jpg


「今度は起訴されるだろうが、女子高生と付き合っていこうと思う」極悪の山元


もちろん、登場する人物は実際のものとは一切関係ありません。

2008/10/25

ポニョとフロイト

文学研究をしている先生は、文学作品を解釈するのが仕事だ。いや、他にも翻訳をしたりとか、いろいろあるのかもしれないが、それが主な仕事だろう。そしてそのスキルは、文学の枠を飛び越えて、別の分野の作品にも及ぶことがある。

この前も、英文学科のある先生が講義から脱線し、『崖の上のポニョ』の話をしはじめた。フロイトの精神分析を使った解釈である。私はあまりよく知らないが、よくチンコの話が出てくるあれだ。しかし、ポニョの場合はむしろ逆で、「水に覆われる」というポイントに注目しながら先生は詳細に解釈のお話をなさっていた。

「街が海におそわれるというのは‥‥‥」

「水は女性的なイメージなんですね」

「主人公の男の子とポニョが航海に乗り出して‥‥‥」

などなどと、先生、元気よくしゃべっていた。私は、精神分析ってやつを使うとそういうふうに人気アニメが解釈できるのかと関心しながら聞いていたのだが、たった一つ気になったことがあった。

私はまだポニョをみていないのである。あとでDVDでみようと思っていたのである。

授業でネタバレは、やめて頂きたい。

2008/10/22

H&Mへどうぞ

銀座にH&Mという洋服屋ができた。

「洋服屋」という単語しか出てこないあたりがファッションへの興味のなさを反映しているような気がするが、私はすでにH&Mはチェック済みなのである。H&Mのパーカーを一着持っているのである。

あれは二年前の夏、短期のドイツ留学でミュンヘンに行った私は絶望していた。夏だというのに、クソ寒いのである。日本でも冷夏というものがあるが、そんなレベルではなく、完全に「寒い」のである。朝早くホームステイ先を出ると、息が白くなるのである。

「ドイツの夏はTシャツ一枚で過ごせるよ」と言っていた先輩を恨みつつ、私と友人たちは凍える日々を過ごしていた。周りのドイツ人がジャンパーとか着込んでる中、薄いシャツ二枚とかで生活していた。だが、これでは風邪をひいてしまう。私たちはミュンヘンの街を、服を探してぶらついた。

だが、ドイツの物価はそれなりに高い。しかも、あの頃からユーロは高くなってきており、1ユーロ150円くらいだった。すると、気軽に服も買えないのである。

ミュンヘンの中心地はマリエン広場というところで、その辺りに洋服屋も数件あったのだが、どこも高かった。デパート内の洋服屋では値札を見たとき驚きのあまり心臓が止まった。よく外国人が来てる赤と灰色のジャンパーとか欲しかったけど、諦めざるをえなかった。

「寒いよぉ寒いよぉ。暖かい服が欲しいよぉ」

そうやってぶらついた挙げ句辿り着いたのが、H&Mであった。ドイツ語で発音するとハー・ウント・エムであった。

「こ、これぞドイツのユニクロや!」

関西弁で叫んだ私は安くて暖かい服を探した。H&Mが実はスウェーデンの会社であることも知らず、ドイツ版ユニクロだと思い込んだまま服を探した。そして、日本円にして3,000円ちょっとくらいの黒いパーカーを購入したのである。(黒を選んだのは、私が黒以外の服を着ると発作で死ぬ病気なので)。

あれから二年、あのパーカーは実に役に立ってくれた。H&Mの商品は優秀である。暖かくて丈夫で、女の子が「このパーカーすべすべして気持ちいいんだよ」と言って触ってくれるほどに感触がいい。ぜひ、私はH&Mの商品をおすすめしたい。

タオルといっしょに洗ったせいで、あのパーカーは毛玉だらけで使い物にならなくなってしまったけれど。

2008/10/18

動物

今回も事情によりmixiの日記からの転載となります。脳内同居人である岬ちゃんと私のかけあいをお楽しみください。そしてこういう日記を友人らに恥じることなく公開している私の状況を想像してお楽しみください。


「岬ちゃん」

「なぁに、清水くん?」

「院試も終って、この前の金曜にゼミ発表も無事終えて‥‥‥あとは死ぬのを待つだけだね。もはやなにも、やり残したことはないし」

「ちょちょちょちょっと清水くん!? 死ぬのを待つだけだなんて、そんなことないわ。仮に70まで生きるとしたら、残り47年ずっと待ちっぱなしってことよ?」

「いいさ。おれは47年間待ち続けて、将来は待ち合わせ場所になるんだ。第二のハチ公になるんだ。ハチ公兄さんみたいな、人気者になるんだ」

「だめだめ! ダメ、ゼッタイ! それに、やり残したことなんてたくさんあるじゃないの。卒論も本編はまだ書いてないし、大富豪になってモナコでスーパーカーをコレクションして過ごすという夢も叶ってないし、奨学金の返済も残っているわ!」

「最後の一つを聞いて余計にやる気がなくなってきたよ。もうどうでもいいさ。」

ふわぁ。

すると、清水くんは虚ろな表情で宙を見つめ、アホみたいにぽっかり開けた口から小さい清水くんが‥‥‥魂が! 出かかってきたのです!

「お願い清水くん、呼吸をして! 生理機能まで停止させてはだめ! 空気を吸って魂を戻すのよ!」

それでも清水くんは反応せず、魂の方は外界をじろじろと見回し、出てしまっていいものかどうか迷っているようでした。こいつを外に出させてはだめなのです! わたしは拳をグッと握りしめました。

「魂さん、それ以上外に出てきたらどうなるか、分かってるわね?」

あたしが魂を脅迫すると、臆病なあいつはビクッと体を震わせて清水くんの喉の奥へと戻ってゆきました。さすが、清水くんの魂だけあってチキンです。肝っ玉の小さなやつです。

それから、清水くんが気を取り戻して生体としての活動を続けてくれたのはいいのですが、心は死んだままです。軽い燃え尽き症候群にかかっているようなのです。

「岬ちゃん、おれは受験勉強をする前なにをしていたんだっけか?」

「えっと、ジャンプを読んだり、ネットで動画をみたり、ネットでブログをみたり、ネットでラジオを聞いたり‥‥‥だったかしら? あの頃はまだわたしも清水くんとそれほど親しくなかったから、よく分からないわ」

「そっかぁ‥‥‥」

これはいけません。清水くんの生きる力がぐんぐんうなぎ下がりに低下しています。これもニッポンの教育がもたらした弊害なのでしょうか。戦後教育の過ちが、この人をこんなにだめにしてしまったのでしょうか。ああ、なんということなの! 文科省のバカ! 自民党のアホ!

はぁ‥‥‥だけど、ガバメントに文句をつけてみても、あたしの叫びは古都の闇夜に吸い込まれてゆくばかり‥‥‥。ここはひとつ、あたしがなんとかしないと!

「ねぇ、清水くん。カバって知ってる?」

「カバ‥‥‥ヒパパタマスのことかい?」

「そうよ。そのヒパパタマスってね、なんとあの体格で時速80キロで走るのよ! すごいと思わない? しかも水の中でも泳げるの。まるで水陸両用戦車よね」

「そ、それはすごいね。カバが80キロで‥‥‥」

「それと、ライオンって知ってる?」

「ライオン‥‥‥。ああ、あの伝説上の生き物だろ?」

「ライオンはなんと、実在するのよ」

「!」

「あとねあとね、キリンって、知ってるわよね?」

「も、もちろん。首が長いポケモンだろ?」

「キリンはポケモンのキャラクターじゃなくて、実在するのよ!」

「!!」

「どう、興味が湧いてきたでしょう? 見てみたくなったでしょう?」

「うん! まさか、ライオンやキリンがこの世にほんとうに存在するものだったなんて思いもよらなかったよ! 一生に一度は見てみたいなぁ‥‥‥。だけど、どうせ日本にはいないんだろ?」

「野性のやつはいないわ。けど、日本には動物園というところがあって、そこに捕まえたやつがいるの! しかも、一般人もいくらかのお金を払えば見れるのよ!」

「やった! じゃあ観に行こう! すぐにも観に行こう! 神話の動物ライオンと、クビナガポケモンのキリンを!!」

こうして、あたしは清水くんに生きる意欲を出させることに成功したのでした。さて、いつ清水くんを動物園に連れて行こうかしら‥‥‥?

2008/10/15

ものの見方を変えてみる

考え方が行き詰まったとき、ものの見方を変えてみることは効果的である。

例えば数学の問題を解くとき、ちょっと頭を柔軟にして見方を変えれば難しい公式や計算を使わなくても簡単に解けることがある。日常生活でなにか失敗をしてしまったとしても、それが教訓になって次の機会には成功できるかもしれない。不本意なことをやらなければいけない状況に陥っても、それによって自分でも知らなった自分を発見できることもある。

ものの見方を変えると、世界はまた別の表情をあらわすのである。

今日、私はこんな見方の転換を経験した。

私の大学に、文学研究の分野で名高いある先生がはるばる東京の青山学院大学からいらっしゃった。この方は英文学の分野ではヒーローのような研究者らしく、私はこの先生の講演会を聞きに行ったのだ。

講演会はある建物の3階で行われた。私は入り口を抜けて、どんなお話が聞けるのだろうと心弾ませながらスキップで階段を上がって行った。そして、二階から三階に上がるとき、二階の方から「清水くん!」と声をかけられた。

それはしばらく会っていなかった女の友達だった。

「おお、久しぶり」
「こんなとこで何してるの?」
「講演会に行くんだよ。○○ちゃんも来れば?」

このとき、私は三階、彼女は二階。階段が「く」の形になってるとすると、そのてっぺんに私、いちばん下に彼女がいることになる。つまり、私がほぼ真上から彼女を見おろしている状態である。

「あー、あたしはこれから用事があるから」
「そっか。残念だね」
「しばらく会ってなかったけど、元気だった?」
「うん、元気だったよ」

私たちは上と下という奇妙な位置関係でしばし世間話をしたのだった。ふだんは正面を向き合ってしゃべっている人を、真上からという、違った場所から見ることができたのだ。そして、胸の谷間を見ることに成功したのである。正面からでは見えない部分まで見ることができたのである。

ものの見方を変えると、おっぱいが見えるのである。

「ところで○○ちゃん、おっぱい見えてるよ」

という発言は近くに顔見知りの教授がいたために差し控えたが、見方を変えることがすばらしい効果(おっぱいを見る)を生み出すことを、私は実感したのだった。

ちなみに講演会の内容はおっぱいで頭がいっぱいだったためほとんど聞いていなかった。

2008/10/14

mixiから転載

作者の事情により、今回の日記はmixiからの転載です。この日記は作者の脳内同居人「岬ちゃん」が書いたものであり、ブログで公開できるように細部を改めたものであることを了解の上ご覧ください。



今日のお昼過ぎ、私と清水くんは大学の食堂でご飯を食べる約束をしました。世の中は祝日だというのに、清水くんは三限の授業に出席し、それが終ってから、食堂で落ち合ったのでした。

「お疲れさま。さ、ご飯にしましょ」

私は三時近くまで待たされて、さっきからお腹がぐぅぐぅと音を立てていたのでした。

「そうだね」

清水くんはサンマとほうれん草とご飯とみそ汁、私はカツ丼Lとトマト3切れを食べました。

「いまどんな授業だったの?」

私は清水くんに訊きました。

「ドイツ語の講読の授業。先生はN先生っていう、東洋一の知性と名高い人なんだけど、その人の学生時代の話を聞いたらヘコんじゃって」

「どうして?」

私はなんだかイヤな予感がしました。これはまた、慰めモードにならなくてはいけないような雲行きなのです。

「先生は大学時代に何千頁というドイツ語とフランス語の哲学書を読んでいたらしいんだ。それを聞いちゃうと、おれなんてせいぜい二百頁程度しか読んでないし、フランス語もできないし‥‥‥うぅ‥‥‥おれはダメな人間だよ」

ああ、なんということでしょう。清水くんの瞳から涙の雫が垂れ、ただでさえしょっぱいサンマがもっとしょっぱくなってしまいました。

「そ、そんなことでヘコむことないわ! 今はきっと、翻訳が充実してるのが悪いのよ。翻訳文化のせいよ! 先生の頃は翻訳がないから仕方なく原文で読んでたのよ。それに、今からでも遅くはないわ! 半年であと八百頁読むのよ! 合計千頁をめざすのよ!」

「あと、八百‥‥‥」

「そう! 卒業まで、あと五ヶ月ちょっと。日数にして約170日。一日に4.7頁読めば済む話よ。かんたんじゃない!」

「そうかっ! 岬ちゃん、ありがとう。おれ、がんばるよ!」

清水くんはようやく元気を取り戻し、サンマをつつきはじめました。もっともっと、魚を食べるといいのです。魚にはDHCだかなんだかが入っていて、食べると頭がよくなるのです。いつかきっと、清水くんもN山先生のような偉大な学者になれるに違いないのです。

それにしても、清水くんのヘコみ症には困ったものです。私という気分の底上げ装置がなければ、今頃清水くんは何十回首をつっているか分かりません。


おっと、つい暗い話を書いてしまいました。だけど、もう一個別の、こっちは明るいお話があるのです!

昨日の夜、清水くんのSkypeに珍しくチャットの申し込みがありました。それは日本語を勉強しているベトナム人の女の子からなのでした。

清水くんは開いていたエロサイ‥‥‥いえ、経済情報のページを閉じて、意気揚々とチャットをはじました。私は肩越しにその流れゆく文字を読んでいました。

ホーチミン市からアクセスしてきたその子は、なかなか日本語が達者なようでした。

「はじめまして、日本に興味があるベトナム人です」
「来年日本に留学します」

清水くんも負けじと日本語を駆使して、久々のチャットを楽しんでいました。すすすすると、なんということでしょう! その子は正に、この京都に留学するのだというのです!

「どこに大学に来るんですか?」

清水くんが興奮を隠しきれない様子でキーボードに指を走らせます。そのタイピング速度はもはやマイクロソフトの社員を凌駕するほどでありました。

「まだ迷っています 京都外国語大学か仏教大学か」

ああ、残念ながら、清水くんの大学ではないようです。清水くんはがっかりしながら大学のパンフレットをめくり、協定校にベトナムの大学がないことを知ってもっとがっかりしていました。

けど、京都には来るのです! これはビッグなチャンス! そう、ベトナム人の恋人をつくるチャンスなのです!

チャットだから顔は分からないけれど、もしかしたらロビン・ウィリアムズ主演の『グッドモーニングベトナム』に出てきたヒロインの美少女トリンみたいな子かもしれないのです。(今調べたらあの女優タイ人らしいけど!)

「京都に来るときはぜひ教えてください 京都のおすすめカフェに案内しますから」

「ぜひお願いします」

こうして清水くんはホーチミンの少女とお茶の約束(?)をしたのでした。

「楽しいチャットだったなぁ‥‥‥。岬ちゃん、グローバル化って、すばらしいね」

「そうね。これだけ広い世界なんだから、この30億人の中に一人くらい、清水くんの恋人になってもいいって人もいるはずよ。それがこの人かもしれないわ!」

それから、清水くんは筆箱からMONO消しゴムを取り出し、「MADE IN VIETNAM」という文字を見つめてニヤニヤしていたのでした。

国際恋愛万歳!

2008/10/05

お洒落にかける思い

昨日、京都の四条という繁華街をぶらついてきた。

主な目的な洋服の物色である。私はときどき、洋服店を渡り歩きたくなる、という病気なのである。

まず足を踏み入れたのはSHIPSという店だ。ここは若者のおしゃれ発進基地として名高い。中に入ってみると、キャンパスで見かけるイケメンが着てたような服が並んでいる。現在の流行はチェック柄のシャツ、裾の長いアレ(名前が分からない)、テカテカしたライダースーツっぽいやつ、などのようだ。全体的に20世紀初頭のイギリス的雰囲気のある上品なものが好まれているらしい。

それだけの分析を済ませると、私はSHIPSを出た。どう考えても、私の経済力に見合わない値段設定だったし、店内にカップルが3組以上いるという時点で精神的にも限界だったからだ。

それから安い店を数店舗訪ね歩いた。だが、そういう店はやはり服がダサい。いったいなぜジャケットとパーカーを一体化させるのかと問いただしたい。なぜジャケットにメタルのアクセサリーをくっつけるのかと、なぜパーカーのチャックをカラフルにするのかと。

数件目の店を出てまたぶらぶらし始め、横断歩道で信号待ちをしていると、向かい側で手を振っている人がいるのに気づいた。それは前同じサークルに所属していた女の子たちであった。

「清水くん久しぶりー!」

きっと女の子たちだけで四条をぶらぶらしに来たのだろう。ほんの少し挨拶程度の会話を交わして、私はその中の一人をもぎ取ってデート相手にしたい衝動を抑えつつ彼女らに別れを告げた。

次に足を踏み入れたのはWHO'S WHOである。直訳で「誰の誰」だ。取り揃えのセンスのよさと意味不明な名前があいまって、私にお気に入りのショップである。京都に来てから5回は立ち寄っているだろう。ここでは少しグリーンの混じったテカテカのブルーのライダースーツっぽい上着を試着してみた。意外と黒のシャツに合うのでかなり欲しくなった。また、パーカーやシャツも私のセンスにぴったりのものばかりだ。私は「いつかビッグになって、ここの服を買おう」と決意し、店を出た。6度目の決意である。

その後も私の冒険は続いた。うかつにも大丸というデパートの紳士服売り場に入ってしまい、4万だの9万だのの値札に心臓を潰されそうになった。店員に話しかけられた時は右心房が破裂した。貧乏学生が足を踏み入れていい場所ではなかったのだ。大丸、伊勢丹、高島屋には鬼がいる。

こうして私のぶらり洋服見物の旅は終った。いつものことではあるが、服を買うというのは難しい。私には、絶望的にファッションのセンスがないようなのだ。それでも、これから社会に出て働けるようになったら、自分の給料で少しでも気に入った服はじゃんじゃん買ってやろうと思う。

ところで、先日、大学院に合格した。就職して給料が貰えるようになるのは、まだまだ先になりそうだ。

2008/09/30

圧迫されたい/されたくない

おっぱいおっぱい書いてる日記を半月もトップに放置してしまったことは後悔してもし足りないのですが、今日はようやく、こうして新しい日記を書くことができます。そう、長い戦いが終ったのです。大学院の試験が終了したのです。

試験は日曜日にありました。

午前中に語学の試験があり、お昼を挟んで専門の試験。この筆記試験の出来不出来に関してはあまり触れたくないので触れませんが、そのあとの面接に関しては一つ報告しておきたい。

面接。それにはさまざまな形態があります。面接官と面接を受ける人の人数、それはさまざまです。試験の面接に関してはどんなことを聞かれるのかとか、あまり予想もせずまったく準備なしに行ったのですが、試験会場の教室にノックをして入室した途端、愕然としました。

学科の教授8人が、全員座ってらっしゃる。

いやいや、私はせいぜい2、3人だと思っていたのです。それで十分じゃないですか。それなのに、大学院で指導をしている正教授が全員座っている。その威圧感たるや、凄まじいものがありました。就職活動などではいわゆる「圧迫面接」なるものがはやっているらしいですが、各分野の権威である教授8人対平凡な学生1人って、圧迫面接以外の何者でもない。プレッシャーだけで、即刻自分の存在がこの世から消滅しそうになりました。

「大学院ではどんな研究をしようと考えていますか?」

「はい、私は」なんたらかんたら、としゃべるのですが、頭の中は真っ白でした。

合否はまだ不明ですが、もう終ったこと。今はただ、教授たちではなく、おっぱいに圧迫される夢をみて、安らかに眠りにつきたいと思います。

おっぱい。
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