2006/04/14

天使と悪魔

僕には、幼いころから、天使と悪魔が見えた。

ふたりはいつも、決まって朝、僕の枕元に現れた。そうして、とめどない争いをはじめるのだ。僕のねぼけた頭に、ふたりの闘いの声が響く。それはまるで、天地を引き裂く大戦争。その戦争は、開戦から10年以上が経過した今も、一向に休戦の気配を見せない。きょうの朝も、天使と悪魔が、僕の枕元で、一進一退の攻防を繰り広げていた。


天使「もう10時ですよグレエ。はやく起きてください。いま起きないと2限目の英語の授業に間に合いませんよ」

悪魔「大丈夫だよ。どうせ初回の授業はガイダンスだけなんだから。ちょっとくらい遅刻したって平気平気」

天使「だめですよグレエ。悪魔の言うことに耳を傾けてはいけません」

悪魔「おまえこそ黙ってろよ。あと10分くらいなら寝てても大丈夫だって」

天使「グレエ、あなたは大学ではまじめに勉強していると、きのうブログに書いたばかりではないですか?いまならまだ間に合うのだから、すぐにベッドから出て準備をするのです」

悪魔「おまえはここ何日かがんばった。だからきょうくらい遅刻してもいいじゃないか」

天使「いけません。はじめが肝心ですよ」

悪魔「どうせ今日は内容には入らないでガイダンスだけさ。5分や10分遅刻したって構やしねぇよ」

天使「これからどういう授業展開になるのかを説明する重要なガイダンスなのですから、遅刻はいけません」

悪魔「1回目は出席確認しないだろうから、成績にも影響ないんだぜ?だからもうちょっと寝てなって」

天使「悪魔の誘いにのってはいけません。はやく起きるのです、グレエ。あれ?‥‥‥‥‥‥グレエ?」

「ZZZ‥‥‥」

2限に30分遅刻しました。

2006/04/16

ブロガーのためのいいバトン

ブロガーたちの間で回され、ネタがないときに重宝される質問集。そう、いわゆるバトンである。いくつものバトンたちが生まれ、そして消えて行った‥‥‥。しかし残念なことに、僕はいままで一度もバトンを回されたことがない。そこで僕は考えた。

「回してもらえないのなら、自分がバトンをつくる側になればいいじゃないか」

ということで、つくりました。バトン。その名も、「ブロガーのためのいいバトン」。なぜ「いい」なのかって? それは、質問の数が「1111」だからです。ええ、長いです。では、ぜんぶ読んでやるという覚悟のある方のみ続きをお読みください。あ、トイレはいまのうちに行っておいてくださいね。

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2006/04/17

ジャンプ・ウォー

きょうは週に一度のお楽しみの日です。そう、ジャンプが出る日ですよ。デスノートにジャガーに銀魂、今週はいったいどんな展開になるんでしょう? どうせハンター×ハンターはないけどな。

ということで、颯爽とコンビニへと向かいました。徒歩で。しかし、もう4月も半ばだというのに寒いんですよ。コート来てくりゃよかった。後悔しつつも(想定の範囲内‥‥‥想定の範囲内‥‥‥)と強がりながら夜道を歩く僕。

お、見えてきた。僕ら現代っ子の心のオアシス、コンビニ。僕が店内に入ろうとすると、僕の気迫に圧倒されたのか、ドアが自然と左右に開く。もう気分は六本木ヒルズに住むIT社長だ。おでんやお菓子コーナーには目もくれずに雑誌コーナーへと歩を進める。そして鋭く眼を光らせてジャンプを探す。

「さあジャンプよ、いますぐ僕の手元へおいで、そして僕を楽しませてくれ。」

しかし、雑誌の棚にはそれらしきものが見当たらない‥‥‥。あるのは立ち読みされ、乱雑に放置されたファッション雑誌や他の漫画雑誌ばかり。一瞬、「ジャンプ」という文字が目に映った。けれど、よく見るとその雑誌には「月刊」の文字が記されている。

僕としたことが、たとえわずかでも月刊ジャンプに惑わされそうになるとは‥‥‥。未熟な自分を戒め、また棚を見渡す。だが、なんど視線を走らせてもジャンプが見当たらない。

「な、なぜだ? 今日は月曜日だぞ? 先週合併号だったなどというオチもないぞ? なのになぜ?」

その時だった。僕は無意識のうちに、立ち読みをしている隣の少年の手元に視線を走らせた。

「こ、このガキ、ジャンプ読んでやがる!」

まさか、この僕がこんな青臭いガキに遅れをとるとは。こんな屈辱はいままで味わったことがない。僕の立ち読みの腕もなまったものだ。残念なことに、そのコンビニには、その少年が持っている一冊しかジャンプは残っていない。

「仕方がない、これはおごり高ぶっていた僕への神の制裁だと考え、いったん退こう。隣のコミックコーナーに。」

己の未熟さを噛み締めながら、『魁クロマティ高校』の最新刊を読みながら少年がジャンプを手放すのを待つ僕。

(想定の範囲内‥‥‥想定の範囲内‥‥‥)

クロマティを4分の1ほど読み終わったとき、遂にチャンスが生まれた。あの少年がジャンプを棚へと戻したのだ。素早く、しかしあくまで自然な素振りでクロマティを棚へと戻す。ここで慌ててはいけない。僕はそこらの素人ではないのだ。いついかなる場合でも、プロとしての誇りを失ってはいけない。他の客や店員にジャンプ目的で来店したことを悟られたら、それは即命取りとなる。まして、なにも買わず立ち読みだけしに来たことがバレたら、僕の経歴に決定的な汚点を残すこととなるのだ。それだけは避けなくてはならない。

ゆっくりと、しかし確実にジャンプが置かれた棚へと移動する僕。さあ、もうすぐだ。あと数十センチのところまできた。待っていろよ夜神月、ジャガー、ピヨひこ、ハマー、ジョン太夫!

希望に胸を膨らませてジャンプに手を伸ばそうとしたその時、想定外の出来事が起きた。なんと、さっきの少年の隣で別の雑誌を読んでいた中年の男が、僕の(ねらってた)ジャンプをつかんだ。そして、あろうことか読みはじめた!

(ま、まさか‥‥‥こんなことが‥‥‥)

僕は呆然と雑誌コーナーに立ち尽くした。何が起こったのか、自分でもはっきりとわからない状態だった。よく見ると、僕の(読もうとしてた)ジャンプを読みはじめた中年男の頬がゆるんでいた。その笑みは、まるで僕に向けられた嘲笑のようであった。勝利に酔いしれるその男の背中が僕に語りかける。

(へへ、青臭いガキはどこのどいつだい?出直してきなボウズ)

僕は敗北感に打ちひしがれながら雑誌のコーナーを後にした。おでんもお菓子コーナーも、僕を元気づけてはくれない。調子に乗っていた頃のツケが回って来たのだ。店のドアのところまでくると、はやく出て行けといわんばかりにドアが自然に左右に開いた。

(想定の範囲内‥‥‥想定の範囲内‥‥‥)

寒さと屈辱感に震えながら帰路につくその男の後ろ姿は、まるで逮捕された元IT社長のようであった。

2006/04/22

雲のささやき

あの お久しぶりです

あなたは わたしのこと 覚えているでしょうか?

わたしは 雲です

空に浮かぶ あの 白い雲ですよ


あなたはいつも 屋根の下 パソコンの画面に向かってばかり

わたしのこと ちっとも 見てくれない

ときには むかしみたいに わたしを見てください

わたしはいつも あなたの頭のうえにいるのですから


ときどきで いいのです

目が疲れたときにでも ほんの一分 いいえ 十秒でもいい

すこしだけ 窓ごしにでも わたしのことを見てください

夕方には お化粧をして あなたを待っていますから


それでは またお会いしましょう

わたしはいつも あなたのこと 空から見守っています

2006/07/12

口説き文句

彼女が欲しいなら、やはり口説くしかない。

心を寄せる女性を自分に惹きつけたいならば、言葉で表現するのが効果的であるように思います。魅力的な言葉というのは女性を振り向かせる、一種の魔法のようなもの。

ある出版社が『口説き文句ベスト10』なる本を出版したようなのですが、僕も自分なりに女性を振り向かせるための口説き文句を考えてみました。女性の方はきょうの日記を読むのをここでやめた方がいいかも知れません。なぜって? 僕に惚れちゃうからさ。



文学好きの女性に対して。

「きみが芥川龍之介とおなじ時代に生まれていたらよかったのに」
「あら、なんで?」
「だって、そしたら芥川は君に夢中になって自殺なんかしなかったと思うんだ」
「そしたらどんな小説を書いたかしら?」
「きみを主人公にした恋愛小説に決まってるさ」

タイトルは『或る女性へ送る恋文』。



理系の女性に対して。

「ねぇ、ちょっと相談にのってくれるかい?」
「どうしたの?」
「どうしても解けない方程式があって、そのことばかり考えて夜も眠れないんだ」
「どんな方程式?」
「いま僕の目の前にいる、きみという方程式さ」

5次関数の方程式に解の公式はない。
恋愛という方程式にも、解の公式はない。



道ばたに咲く花を見ながらこう言おう。

「ねぇ、どうして花の命は短いか知ってるかい?」
「知らないわ」
「花は咲いてくるとすぐ、きみの美しさには勝てないと思って散ってゆくんだ」

きみこそが僕の、世界に一つだけの花。


女性に映画に誘われたら。

「僕は、きみといっしょにいい映画を観たくないんだ」
「どうして?」
「だって、きみが隣にいたら、きみのことばかり見てしまいそうだから」

きみはどんな女優より美しい。



少しうつむいて、沈んだ調子で。

「人間はすべて平等だなんて、あの言葉は嘘だね」
「どうしたの? 何かあったの?」
「だって、きみに出会えた僕は、特別に幸福だから」

人間は不平等だ。



女性にジャムの瓶を開けてと頼まれたときに。

「ごめん、僕はいま手伝いたくないんだ」
「なんでよ、意地悪ね」
「力を入れて頬を赤らめるきみを、もう少しだけ見ていたいんだ」

彼女が照れて赤くなること間違いなし。



部屋の話になったらすかさずこう言おう。

「ねぇ、きみの部屋の鏡は赤くないかい?」
「そんなことないわよ。どうしてそう思うの?」
「鏡が女なら嫉妬で、男なら照れて赤くなるはずだからさ」

きみの鏡は、女なら世界一不幸せな、男なら世界一幸せな鏡。



どんな神学者も哲学者も思いつかなかった神の存在証明。

「ねぇ、神様っていると思う?」
「どうかしら、分からないわ」
「僕は絶対にいるって信じてるんだ」
「なぜ?」
「いま僕の目の前に、神様の使いがいるからさ」

ああ、僕の天使。



意中の女性をじっと見つめながら。

「‥‥‥‥‥‥」
「どうしたの?」
「ごめん、きみの魅力を表せる言葉が、どうしても見つからなくて」

沈黙という最大の賛辞。
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