2008/06/02

死をめぐって

五月は、憂鬱な月だった。

世の中では暗い出来事ばかりが目立ち、ぼくの心も塞ぎがちだった。ゼミの授業でも、友人たちの出席率が著しく低下していた。みんなも憂鬱な気持ちで過ごしていたのだろう。

そんな中、ほとんど欠席したことのない土川(仮名)という男が、二度続けて欠席していた。しかも、教授にも連絡なく、である。

お世辞にもまじめとは言えない彼だけれども、ゼミだけはいつも顔を出していただけに心配だった。それに、来週は三回生のゼミとの交流会があるから、その出欠も確認しないといけない。ぼくは彼にメールを送ってみた。それが金曜日のことだ。

が、週末を過ぎ、今日になっても返信はこなかった。日曜の夜にもう一通送ってみたけれど、それでも音信不通だった。

ますます彼の身に何かあったのではないかと、ぼくの中で土川死亡説が濃厚になってきた。そこまでいかないまでも、病気や事故に見舞われたのではないかという不安が胸をかすめる。

そんなぼんやりとした不安を抱えていた折、きょうの夕方のことである。ぼくは夕食をとろうと学食にゆくと、混雑している中で六人がけのテーブルに一人で座る土川がいた。見ると、漫画を読んで笑っていた。大学の食堂で、一人で漫画を読みながら笑っていた。

死ねばいいと思った。


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