2008/04/04

ハナ

桜の舞う京都御所。古都の政が行われていたこの場所は、今の季節、うららかな陽気と満開の桜で彩られる。

きのう、ぼくは友人の女の子とふたりで留学生の生活サポートというものを行った。銀行口座の解説やキャンパスの案内というお手伝いである。一通り必要なことを行ったあと、ぼくらは京都御所に散歩に出かけたのだ。

部屋に閉じこもっていたばかりのぼくは、すぐ近くにある京都御所がこんなに美しく変身していたことに驚いた。ぼくらの頭の上には天蓋のように桜の木の枝が覆いかぶさり、散りゆく花びらが鼻をくすぐってゆく。はるばるドイツからきた留学生もその光景が気に入ったようで、カメラのシャッターを何度も切っていた。

ぼくはデジカメを忘れたので、携帯電話のカメラで桜を撮った。そして、ふと横をみると、友人の女の子の、桜に見入る顔があった。長いあいだ友達としてなかよくしてきた彼女は、もはや妹のようにさえ思えて、異性として意識しないほどになっていたが、この時はなぜか、彼女を美しいと思った。

ぼくは、携帯のレンズを彼女に向け、シャッターを切った。

「なんであたしの顔撮ってるの?」

彼女は少し笑いながら言った。勝手に写真を撮ったことを、怒ってはいないようだった。ぼくは答えた。

「いや、きみの顔が花のように美しかったから、つい」

すると彼女は、

「ふんっ」

と、鼻で笑った。

これが彼女なりのジョークだったのかどうかは、わからない。
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