2009/02/05

煉獄

ダンテの『神曲』っていう本を読んでいる。

この物語は主人公のダンテが、詩人のウェルギリウスという人に導かれて地獄・煉獄・天国をめぐるというお話なんだけど、ハラハラドキドキの一大スペクタクルだ。かずかずの責め苦が罪人を苦しめる地獄なんか、さながらハリウッド映画、もしくはファイナルファンタジーの世界である。

かんたんにあの世の地理を説明しておこう。

地獄は9つの谷からなり、すり鉢状になってて、罪人がさまざまな苦しみを与えられている。火あぶりにされたり、穴に頭から突っ込まれていたり、悪魔に体を切られたり。いちばん浅い地獄である辺獄ってとこには、なんとプラトンなど古代ギリシャの哲学者たちがいる。「そんな人まで!」という人が、地獄に落ちてる。

煉獄は、天国にゆく前に現世の罪をあがなう場所。天国行きは確定してるんだけど、現世で罪を犯した人はここでそこそこ苦しい刑に処せられ、それからやっと天国に行ける。中には数百年間、ここにいなきゃいけない人もいる。かわいそうである。

天国は、聞いた話だと、光の国らしい。苦しみはなく、とにかく光に充ちてて、ぴかぴからしい。キリストとか、トマスとか、マザーテレサとかがいるんだろう。

『神曲』では、そんな場所をダンテとウェルギリウスが二人で旅するんだけど、この二人の関係がちょっとあやしい、とぼくはにらんでいる。

ダンテははるか先輩であるウェルギリウスのことを「先生」と呼び、慕っている。先生は旅の途中でダンテに教えを与えたり、崖を上る手助けをしたり、ダンテがよそ見をしたいすると、しかったりする。完全に、BL系の準備は整ってる。もう、いつ二人の濡れ場が描かれるのか、赤面してハラハラしながらページをめくる日々である。

きのうは、ふたりが悪魔大王ベルゼバブ(頭が3つあってすごいでかい)の足の下にいって地獄の底を抜け出た。足の途中あたりで重力が逆になって、ダンテとウェルギリウスは地球の反対側に出たのだ。次にめざすは、煉獄。そこで、私はジュンク堂で煉獄篇を買ってきた。いま、ふたりは煉獄の山の中腹あたりにいる。

で、それはいいんだけど、本屋に天国篇がなかった。

地獄篇と煉獄篇はひら積みにされてたのに、天国篇だけ影も形もない。

それで、「もしかして!」と思ってインターネットを使って調べてみたところ、私が手を出した河出文庫の『神曲』は、まだ煉獄篇までしか出てないんだという。天国篇は、まだ印刷されてないんだという。

天国への到着を焦らしながら待たされる。

まさに私が、煉獄の山に放り込まれたわけだ。
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