2009/02/04

フォーリン・ダウン

きょうは晴れて、気持ちのいい一日だった。

朝、目が覚めると、ぼくはマンションの屋上に上って鳥小屋の扉を開け放った。するとハトたちが勢いよく飛び出し、青空に羽ばたいていった。ぼくはラッパを吹いた。冷たい朝の空気の中を、ラッパの音が響いてゆく。

それから、ハトに餌をやって(毎朝、ラッパを吹き終わると餌をやることになっている)、きのうの夜拾ってきたシータに朝ご飯をつくってやった。ぼくは、

「空から降ってきたから、天使じゃないかと思っちゃったよ」

という決め台詞で口説きにかかったのが、無邪気なのか、それとも経験豊富なのか、かるく受け流されてしまった。空から落ちてきたくせに、かんたんには落ちない女だ。

それから、空賊や自衛隊に追いかけ回されたりしたのち、ラピュタをめざした。

ラピュタは空のどこかに浮かんでいるという伝説の島だ。むかしぼくの父さんが写真をとってきて、何度も話をしてくれた。街の人たちはラピュタの存在を信じなかったけれど、ぼくの父さんは嘘つきじゃない。きっとあるって、信じてたんだ。

ぼくたちはいくつもの困難を経てラピュタを発見した。シータの命を何度か救い、最終的にはシータに「ぼくの部屋に来なよ」と言ったら「うん」と答えたのですごく嬉しかったんだけど、そんなこんなで昼過ぎになった。

きょうは、ドイツ語検定の結果が郵送されてくる日だ。

3時くらいに郵便受けをチェックすると、そこには一つの小さな茶封筒があった。待ちきれないとばかりに封を破って、中の紙を取り出し、読む。すると、

「不合格」

とあった。

「そ、そんな‥‥‥。うがぁ!」

ぼくは叫んだ。そして、がっくりとうなだれた。「不合格」という文字は、どういいように解釈しても「合格」ではなかった。 「不」という漢字が頭についてるってことは、それは否定の意味であり、「合格」ではないってことだ。要するに、落ちた。

そう、ぼくは負けたのだ。ううぅ‥‥‥。

「パズー、どうしたの? そんな悲しそうな顔して‥‥‥」

シータが、布団で胸を隠しながら、ベッドからぼくに言った。

「ドイツ語検定に、落ちたんだ」

「まぁ」

飛行石があっても試験には落ちるんだね、なんて下手な冗談を言いながら、ぼくはまたベッドにもぐりこんだ。

今回の試験は、面接を甘く見すぎていたようだ。なんとかなるだろうと軽い気持ちでいて対策をほとんどしていなかった。この不合格通知は、一種の、神のイカヅチであろう。

シータが落ちてきて、恋に落ちて、シータを落として、試験に落ちて、そんな、落ちっぱなしの一日だった。
この記事へのコメント
不合格通知かね?
しかし、その不合格通知は神のイカヅチなんかじゃない。
私からの怨念さ!!ははは!!
Posted by ムスカ(実は長崎出身) at 2009年02月05日 21:13
くっ‥‥‥特務の青二才めがっ!
Posted by 清水閣下 at 2009年02月05日 22:56
何とこちらに既に、合否の事が書かれていたんですね。今度の独検はどうなのかなと思い、Googleで「ドイツ語 準1級」というキーワードで検索して直接あの記事に飛んで来たんで、最新の記事を見ていませんでした。しかもまだ学生でお若いんですね。文章が大人っぽかったので、予想外でした。
そうですね、確かに不合格の場合、茶封筒の合否が届くんですよね。私も3級を受けた時にこれでした。合格するとA3かA4ぐらいの封筒が届きますよ。
私は今年の独検受けるつもりですよ。最上級を。でもすでに絶望的なので、あくまで目標です。
Posted by ein Fortgeschrittener at 2009年02月09日 21:23
おお、3級で敗北を喫してもなお努力し、準1級合格という栄冠を手にされたのですね。すばらしい。尊敬します。

私も今回の不合格をバネに、来年の準1級合格、そしてゆくゆくは1級、ゲーテのB2、C1をめざそうと思います!
Posted by 清水 at 2009年02月10日 00:57
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