2009/01/29

クジラの挫折と成功

クジラは、要するに負け犬だ。

クジラは、海中で生活しているのに哺乳類である。この意味を、考えてみよう。

生物は海で生まれた。そっから微生物の段階でずっとだらだらしてて、魚になって、両生類になって、地上に這い上がってきた。生物のサクセスストーリーは順調だった。

しばらくして、サンショウウオ的なもんが哺乳類になった。犬的なものになったんだ。毛もふさふさだ、たぶん。生物は地上での生活を謳歌しはじめた。

「風って、気持ちいいよね」

なんて、魚たちの方を見下しながらさらっと口にしてたはずだ。

「あ、ごめんごめん。きみたちにはわからないか、この感覚」

なんつって。

さらに続くあいつらの成功の軌跡。あるものはでっかくなり、あるものは空を飛び、あるものはお腹に袋をくっつけておやつのクッキーを入れて嬉しさのあまりぴょんぴょん飛び跳ねたりして、そうやって楽しんでたんだろう。

だが!

ここで出てきた、やさぐれ野郎。ザ・KY。クジラの祖先である。こいつらはあろうことか、海に戻って行きやがった!

「あたし、やっぱり陸上はだめだわ。海に戻ります」

なんという負け犬根性だろうか。なんたるガッツのなさだろう。みんなが地上で、さあこれからがんばろうというときに、海に戻るなんて。

その姿はまるで出戻り女房。

「あたし、あの家ではやっていかれへんわ。ごめんな、お母さん」

28歳の鯨子は実家(海)に戻る。陸という嫁ぎ先はあまりに環境が違いすぎて、そこで強く生きてゆくだけの適応能力が、彼女にはなかったのだ。近所の人たち(魚)の目も冷たい。

(あれ、あの人‥‥‥潮田さんちの娘さんだわ。きっと姑にいびられて帰ってきたのね)

すると、貝(ひきこもり)は貝で、殻の中でキーボードをかちゃかちゃやって、

「出戻り乙www」

「ホ乳類なのに海で生活とかwwwwっうえwwwっうぇwww」

といった書き込みをしていただろう。

海に戻った、といっても、もう魚とおなじように生きるわけにはいかない。彼女にはもう鱗はないのだ。ヒレもない。できちまった手足を、なんとかまた水中に適応させて、生きるしかないのだ。

(ああ、やっぱりあたし、海の中がいちばんだわ。あんなパサパサしたところ、もう二度と行かない)

こうしてクジラは海へと戻った。哺乳類であるというハンデを負って。

だが、長い年月のあいだに、クジラはがんばった。すごく、がんばった。ときどき地上に出て呼吸をしなければならないというハンディキャップを乗り越え、繁栄し、史上最大の生物にまで登り詰め、潮吹きというパフォーマンスまで生み出したのである。なんという強さだろうか。


えっと‥‥‥はじめはクジラが負け犬なんじゃないか、と思って書きはじめたんですが、よく考えてみると、そんなことはないだろう、という方向に傾いてきました。クジラは実は、尊敬すべき勝者なのかも。

「あのとき、あたしはたしかに負けたんです。陸での生活に耐えられなかったあたしは、たしかに弱い女だった。けど、その失敗をバネにして、ここまでがんばることができました。これをごらんのみなさんも、一度や二度の失敗でくじけず、何度でも挑戦してください。そしたら、いつかきっと、夢が実現する日がくるはずです」

クジラは、なんてすばらしいんだろう。
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