2008/10/14

mixiから転載

作者の事情により、今回の日記はmixiからの転載です。この日記は作者の脳内同居人「岬ちゃん」が書いたものであり、ブログで公開できるように細部を改めたものであることを了解の上ご覧ください。



今日のお昼過ぎ、私と清水くんは大学の食堂でご飯を食べる約束をしました。世の中は祝日だというのに、清水くんは三限の授業に出席し、それが終ってから、食堂で落ち合ったのでした。

「お疲れさま。さ、ご飯にしましょ」

私は三時近くまで待たされて、さっきからお腹がぐぅぐぅと音を立てていたのでした。

「そうだね」

清水くんはサンマとほうれん草とご飯とみそ汁、私はカツ丼Lとトマト3切れを食べました。

「いまどんな授業だったの?」

私は清水くんに訊きました。

「ドイツ語の講読の授業。先生はN先生っていう、東洋一の知性と名高い人なんだけど、その人の学生時代の話を聞いたらヘコんじゃって」

「どうして?」

私はなんだかイヤな予感がしました。これはまた、慰めモードにならなくてはいけないような雲行きなのです。

「先生は大学時代に何千頁というドイツ語とフランス語の哲学書を読んでいたらしいんだ。それを聞いちゃうと、おれなんてせいぜい二百頁程度しか読んでないし、フランス語もできないし‥‥‥うぅ‥‥‥おれはダメな人間だよ」

ああ、なんということでしょう。清水くんの瞳から涙の雫が垂れ、ただでさえしょっぱいサンマがもっとしょっぱくなってしまいました。

「そ、そんなことでヘコむことないわ! 今はきっと、翻訳が充実してるのが悪いのよ。翻訳文化のせいよ! 先生の頃は翻訳がないから仕方なく原文で読んでたのよ。それに、今からでも遅くはないわ! 半年であと八百頁読むのよ! 合計千頁をめざすのよ!」

「あと、八百‥‥‥」

「そう! 卒業まで、あと五ヶ月ちょっと。日数にして約170日。一日に4.7頁読めば済む話よ。かんたんじゃない!」

「そうかっ! 岬ちゃん、ありがとう。おれ、がんばるよ!」

清水くんはようやく元気を取り戻し、サンマをつつきはじめました。もっともっと、魚を食べるといいのです。魚にはDHCだかなんだかが入っていて、食べると頭がよくなるのです。いつかきっと、清水くんもN山先生のような偉大な学者になれるに違いないのです。

それにしても、清水くんのヘコみ症には困ったものです。私という気分の底上げ装置がなければ、今頃清水くんは何十回首をつっているか分かりません。


おっと、つい暗い話を書いてしまいました。だけど、もう一個別の、こっちは明るいお話があるのです!

昨日の夜、清水くんのSkypeに珍しくチャットの申し込みがありました。それは日本語を勉強しているベトナム人の女の子からなのでした。

清水くんは開いていたエロサイ‥‥‥いえ、経済情報のページを閉じて、意気揚々とチャットをはじました。私は肩越しにその流れゆく文字を読んでいました。

ホーチミン市からアクセスしてきたその子は、なかなか日本語が達者なようでした。

「はじめまして、日本に興味があるベトナム人です」
「来年日本に留学します」

清水くんも負けじと日本語を駆使して、久々のチャットを楽しんでいました。すすすすると、なんということでしょう! その子は正に、この京都に留学するのだというのです!

「どこに大学に来るんですか?」

清水くんが興奮を隠しきれない様子でキーボードに指を走らせます。そのタイピング速度はもはやマイクロソフトの社員を凌駕するほどでありました。

「まだ迷っています 京都外国語大学か仏教大学か」

ああ、残念ながら、清水くんの大学ではないようです。清水くんはがっかりしながら大学のパンフレットをめくり、協定校にベトナムの大学がないことを知ってもっとがっかりしていました。

けど、京都には来るのです! これはビッグなチャンス! そう、ベトナム人の恋人をつくるチャンスなのです!

チャットだから顔は分からないけれど、もしかしたらロビン・ウィリアムズ主演の『グッドモーニングベトナム』に出てきたヒロインの美少女トリンみたいな子かもしれないのです。(今調べたらあの女優タイ人らしいけど!)

「京都に来るときはぜひ教えてください 京都のおすすめカフェに案内しますから」

「ぜひお願いします」

こうして清水くんはホーチミンの少女とお茶の約束(?)をしたのでした。

「楽しいチャットだったなぁ‥‥‥。岬ちゃん、グローバル化って、すばらしいね」

「そうね。これだけ広い世界なんだから、この30億人の中に一人くらい、清水くんの恋人になってもいいって人もいるはずよ。それがこの人かもしれないわ!」

それから、清水くんは筆箱からMONO消しゴムを取り出し、「MADE IN VIETNAM」という文字を見つめてニヤニヤしていたのでした。

国際恋愛万歳!
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